夏の暑さって不思議ですよね。「今年の夏が一番暑い」と毎年思うのですから。
しかし昨年2018年の夏はかなり異常だったようで、知り合いの電気屋さんはこう話ていました。
「何十年も扇風機だけで過ごしてきたお年寄りが、身の危険を感じてエアコン設置を依頼してくる。急な依頼も多く、それほど異常な暑さだった」と。
暑い日に怖いことと言えば「熱中症」
毎年、屋内外で熱中症になり、亡くなってしまうケースもあることは、ニュースなどでご存知だと思います。
そこで沖縄出身の私が普段から自然に行っている熱中症対策をお教えします。
結論から先に言うと、特別な対策はありません。
こちらの記事で紹介することは、熱中症対策を忘れないための合言葉
「こ・え・か・け」です。
この合言葉の内容に、熱中症にならない全ての対策が詰まっています。
安全で楽しい夏を過ごすために「こ・え・か・け」を覚え、熱中症にならない準備をしましょう。
どの対策一つ欠けてもいけません。さっそく説明していきます。
健康自慢の母でも倒れた!熱中症の怖さ体験談
先日、母(70歳)が倒れました。熱中症でした。
普段から自ら野菜を育てるなど健康に気遣い、適度な運動も行い、持病もありませんでした。
そんな母でも畑仕事をしていて急に倒れたといいます。いったいどんな状況だったのでしょう。
その日は梅雨の合間の曇り。涼しい日でした。
家から15分の場所にある畑で、父と作業をしていたそうです。畑の作業は週に2回程度。
帽子や涼しい洋服を着て、暑さ対策は普段通り行っていました。
ただこの日は、普段お会いしない隣りの畑のご主人がいらしたので、お喋りをしながら作業をしていたそうです。
お喋りをしながらも「喉が渇いたな」という自覚はあったそう。
でも持参しているスポーツ飲料が、自分(母)と父の分しかないため、隣のご主人を気遣い飲むのを躊躇していたそうです。
2時間の農作業を終え、隣のご主人も帰られ、木陰で休憩をとることに。
水分を500mlとり、昼食も食べました。
しかしその直後、
猛烈なめまいと吐き気に襲われたそうです。
すぐに車に乗り込み自宅へ向かいました。
玄関先で数回吐き、フラフラしながら床の間に。
横になり、洋服の前ボタンを開け、エアコンと扇風機で体を冷やし、水分を少しずつ摂っていたとのことです。
その後、意識がはっきりしていたため車で病院へ行き、点滴を投与されその日に回復しました。大事に至らず良かったです。
母は「あの時お隣の畑の方に「暑いので水分を摂らせていただきますね」と少しでも水分摂取できていれば倒れることはなかった」と、後悔していました。
本当に驚きました。あの健康番組大好きな母が、まさか熱中症で倒れるなんて。
普段と違ったことは、曇りの日ということもあって、水分摂取を怠った点。
熱中症は一つでも対策を怠ると、誰でもかかる危険性があります。
熱中症対策の基本「こ・え・か・け」を覚え、危険な暑さを乗り切りましょう。
熱中症対策「こ・え・か・け」とは
沖縄で暮らしていると冬でも日中「暑い!」と思うことがあるので、暑さ対策が自然と身についています。
その対策を忘れないための標語が「こ・え・か・け」です。
4語ですが対策は5つ。以下の通り。
- まず一つ目は「こえかけ」をする
- こ ➡ こまめな水分補給
- え ➡ 炎天下を避けよう
- か ➡ 風通しを良く
- け ➡ 健康管理
一目見るだけでも、なんとなく想像でき対策できそうですよね。
これら一つ一つ、どれが欠けてもいけません。
一つ一つの重要性を理解して「こ・え・か・け」を身につけましょう。
「大丈夫?」の声かけをしよう!
体力の無い子供やお年寄りは特に熱中症になりやすいです。
普段から家族やご近所さんなどに、積極的に熱中症対策を呼び掛けましょう。
特に注意が必要な場面は、
・つい夢中になって無理をしてしまう運動時
・個人で休憩を挟むのをつい躊躇してしまう、暑い中での長時間作業
などです。
●お互いに、熱中症の危険を理解し「水分摂ってる?」「少し休憩しよう」など声を掛け合いましょう。
●また、お互いが休憩や体調不良を言い出しやすい環境作りも行っていきましょう。
●そして普段顔を合わさない親戚や知人などにも、メールや電話などで「熱中症にお気を付けください」と声を掛け合いましょう。
●とくに子供は自らの意思で暑さ対策できません。なので頻繁に声掛けをし、脱水を予防しましょう。
「声をかける」は熱中症対策の軸です。
「大丈夫?」と声をかけるだけで注意喚起も兼ねた、体調確認もできます。ぜひ積極的に声を掛け合いましょう。
【こ】こまめに水分補給!水分の重要性を理解していますか?
大人の体の水分割合は、60~65%
子供の場合はなんと、70%を占めているのです。
そんな水分でできた体を維持するために必要な水分量は、1日あたり800ml~1,300mlです。これは食事に含まれる水分を除いた「水分として飲まなくてはいけない量」のこと。
これに、汗をかきやすい環境(エアコンのきいていない部屋、運動、高温の場所での作業など)が加わると、さらに水分を摂る必要があります。
この「さらに必要な水分量」を怠ると、熱中症になるのです。
ただし、ただ水分をがぶ飲みするだけではいけません。
逆にそれでは熱中症を悪化させてしまうこともあるからです。
それでは、水分の取り方のポイントと具体的な量の説明をします。
熱中症対策に効果的な水分と塩分の関係
汗の成分のほとんどは水分。そこに微量のナトリウム(塩分)などが含まれています。
つまり汗を大量にかいた時には、水分+塩分の補給が必要なのです。
さらに、少量の糖分を一緒に摂取することで、水分を吸収する腸を効率よく動かすことができます。
CMや薬局などで目にする経口補水液(けいこうほすいえき)は、これらのバランスが整っているため熱中症対策に推奨されるのです。
所ジョージさんがCMをしているOS-1(オーエスワン)が有名ですが、夏場は自宅や職場、外出先でも用意し、いつでも飲めるように準備しましょう。
※既往歴や治療中の疾患がある方は、水分や塩分を制限する方もいます。事前に必ずかかりつけ医師に相談し、指示に従いましょう。
経口補水液は手作りもできます。
手作り経口補水液つくり方
材料:
水500ml
砂糖 大さじ2杯(約18g)
塩 ふたつまみ(約1.5g)
レモン汁少々
上記をよく混ぜ合わせる。以上。日持ちしないので飲み切れる分だけ作り、その日で飲み切りましょう!
ちなみに私は経口補水液の味が苦手なので、レモン汁やシークワーサーの汁を少し多めにして飲んでいます。そしてしっかり冷やして飲むと飲みやすいです。
夏場は、氷入りの水筒に入れて持ち歩くようにしています。
熱中症対策に必要な水分量と摂り方
普段の1日に摂るべき水分量は成人の場合800ml~1,300mlです。
起床時と寝る前にコップ一杯(約200ml)ずつ、さらにあと2杯の水を飲む習慣で補えます。わりと簡単です。
では夏場の汗をかく環境において、プラスどれくらいの水分量をどのように摂れば良いのでしょうか?
・まず活動する30分前にコップ1~2杯程度飲みましょう
➡過剰な水分摂取は血液を薄くし、利尿も促すため熱中症対策に逆効果です)
・その後、1回あたり100ml程度の水分を10分~20分毎に飲みましょう。
➡1時間あたり400ml~800mlが目安です。
子供の場合は、年齢や体重によって一日に必要な水分量が大きく変わります。
【飲料水+食事からの一日に必要な水分量の目安】
・新生児:1kg(体重)あたり約50ml~120ml
・乳児:1kgあたり約120ml~150ml
・幼児:1kgあたり約90ml~100ml
・学童:1kgあたり約60ml~80ml
(参考文献:「水の健康学」/藤田紘一郎)
例)体重15kgの幼児の場合、食事を含めた一日に必要な水分の量は約1、500mlとなります。
子供は汗をかきやすく、腎機能が未熟なため尿も薄いまま排泄されます。
そのため大人よりも注意して水分摂取しなければなりません。
夏場は最低でも20分に一度は休憩をし、100ml程度の水分を摂取しましょう。
これはあくまで目安です。汗の量、顔や唇の色、自覚症状などを確認し、必要に応じて水分の量を調整しましょう。
【え】炎天下を避けて【か】風通しを良くしましょう
こ・え・か・けの「え」と「か」は温度と湿度の対策です。
炎天下を避ける工夫は、日陰を歩く、帽子や日傘で直射日光を避ける、など気にされている方も多いのですが、
意外と気にしているようで疎かにしまいがちなのが「湿度管理」です。
「直射日光を避けて木陰で休憩していたのに、熱中症になってしまった」
「室内で水分は摂っていたが、熱中症にかかってしまった」
など、熱中症対策をしているのに熱中症にかかってしまうケースは、この湿度管理が不十分なのです。
空気中に含まれる水分が多いと(湿度が高いと)発汗しても蒸発できない状態になり、体温を下げることができません。
また、空気の流れがない状態では体表面の温度も下げられません。
それが熱中症の原因となります。
つまり、
☆炎天下を避け=日差しを遮り、冷房器具を用いて温度管理する。
☆風通しを良くする=風が通る工夫をして、熱や湿気がこもらないようにする。
これらを工夫することが、熱中症にならないための重要なポイントなのです。
日差し対策、風通し対策グッズ
室内の場合
- 温度・湿度計を用いて家の温度管理をする。
- すだれやブラインドなどで風通しを確保しつつ、直射日光による室温の上昇を防ぐ。
- エアコンを使用する。扇風機も同時に使用することで空気が循環し室温も安定しやすい。
室外の場合
- 日傘や、つばの大きめの帽子の使用。
- 通気性の良い綿や麻などの衣類を着る。
- 保冷剤入りネックスカーフの使用。
- うちわや手持ち扇風機などで風通しを良くする工夫。
室内外問わず、こまめな水分補給(経口補水液など)も忘れてはいけません。
また、汗を拭き取る際に乾いたタオルを使うとさらに発汗してしまうことも。
必ず湿らせたタオルや汗拭きシートなどで拭き取り、汗の作用を妨げない工夫をしましょう。
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上記の画像は、先人の知恵でくばの葉を乾燥させて作られた「くばがさ」と「クバオージ」です。お年寄りの家に行くと、たいてい見かけます。
昔から自然素材を用いて、涼しく生活をする工夫をしていたのでしょうね。
【け】健康管理をする
ここまでに「声掛け、水分補給、温度湿度の管理」の重要性を説明しました。
最後にもう一つ重要なことは「普段の健康管理」です。
食事や水分をきちんと摂取し、睡眠時間をしっかりとり熱中症に負けない身体作りをしましょう。
熱中症にならないための食事と食材
食事は基本の3食をバランス良くしっかり摂りましょう。
とくに日中の活動源になる朝食と昼食はバランスよくしっかり摂る必要があります。
夜は体力を回復するために必要なエネルギーとなりますので、夕食も忘れてはいけません。
また、アルコールは利尿作用があるので、飲み過ぎに注意しましょう。
食事では、鉄分やビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2を摂り、持久力を高め、夏バテ知らずな体作りをしましょう。
鉄分の多い食材
➡ひじき、豚レバー、しじみ、あさり、凍り豆腐、干しエビ、かつお、純ココア、納豆、小松菜、切り干し大根、だいこんの葉など
ビタミンC(鉄分の吸収を促す)の多い食材
➡イチゴ、かんきつ類、ピーマン、パプリカ、ブロッコリー、ゴーヤ、トマトなど
ビタミンB1(食べ物をエネルギーにする役割)の多い食材
➡米ぬか、小麦はいが、豚肉、まいたけ、干しのり、カシューナッツ、ピスタチオ、玄米など
ビタミンB2(三大栄養素がエネルギーに変わる際に役立つ)の多い食材
➡豚レバー、牛レバー、鶏レバー、うなぎのかば焼き、塩サバ、納豆、卵、モロヘイヤ、チーズなど
夏野菜で有名なゴーヤーは、沖縄では自宅で栽培する人も多く、夏場の食卓に欠かせないスタミナ食材です。
そのゴーヤーを使った有名な料理「ゴーヤーチャンプルー」
豚肉とゴーヤー、卵、さらに小松菜を入れて炒めれば、夏最強レシピになります。
疲労を残さない!睡眠をしっかりとる
疲労を残さないためには、十分な睡眠が必要です。
・室温は28度前後に調整。室外との温度差で体調を崩す場合もあります。
・冷気が直接からだに当たらないようにしましょう。
・脱水予防のために、就寝前にお水をコップ1杯飲みましょう。
・夏の安眠グッズの利用(体に合った寝具選び、冷感マット、冷感抱き枕、アイスノンなど)
もし翌日も疲労感が残る場合は、運動時間を短くしたり、周囲の人へ協力を依頼するなど、決して無理をしないよう心がけましょう。
熱中症対策に役立つ「こ・え・か・け」
必要なのは特別な対策ではなく、お互いを気遣う心配りと、対策を忘れない心がけです。
家族や知り合いにも広めて、皆で夏場を乗り切りましょう。